芸劇eyes

青年団リンク やしゃご

きゃんと、すたんどみー、なう。

作・演出 伊藤 毅

 

2022年7月7日(木)~7月17日(日)

東京芸術劇場シアターイースト 


関東圏郊外。三人姉妹が住む一軒家。

長女は、知的障がい者である。
親はもうなく、主に三女が家を仕切っている。

 

次女が結婚し、夫と建てた新居への引っ越し日。

引っ越し業者とともに作業をする姉妹たち。
そこに、長女と結婚したいという男が現れる。

 



公演によせて/伊藤より

 

病気や障害を抱える兄弟姉妹を持つ子どものことを「きょうだい児」と言います。

日本人口の5%がこの分類に該当すると推定されていて、僕自身も兄が知的障がいを持つきょうだい児でした。

子供時代の僕は、親の愛情が兄に向いているなあと感じたり、必要以上に「健常者の僕は良い子でいなきゃ」と思っていた気がします。

結局、大学進学で上京して演劇にのめり込み、良い子ではなくなってしまいましたが……。

今にして思うと、「自分の人生だけど、主人公じゃない」あの頃の感覚が、演劇に引き寄せられた要因だったのではないかと考えています。

良い子を捨て、兄の世話をすることから逃避した僕は、その罪悪感を右胸のポッケに突っ込んで、その胸の重みをたまに思い出しては無視をしながら、俳優をしていました。

当時の恋人達には、「兄が障がい者である」という事実を伝えることがどうしても出来ず、その罪悪感は左胸のポッケに突っ込みました。

30歳を過ぎておっさんになり、両胸ポッケの中身をやっと眼前にする勇気を得た僕は、神への告解の代わりに、目に見えないマイノリティ、「きょうだい児」を主軸に置く、一幕一場の戯曲『きゃんと、すたんどみー、なう。』を書きます。

2017年、やしゃごの前身、青年団若手自主企画「伊藤企画」時代の作品です。

 

2022年7月、東京芸術劇場シアターイーストで再演します。

初演から5年が経ち、世界は変化しました。僕達も。

戯曲の骨子を残しつつ、現在の僕が見えている世界を創出すべく、今、メンバーと新しい『きゃんと、すたんどみー、なう。』を作っています。

わかりやすく楽しくて、悲しくってちょと寂しい、感情カオスな作品にするべく絶賛稽古中です。初演を見て頂いた方も、楽しんで頂ける作品になります。ぜひご来場ください。



舞台写真

撮影:石澤知絵子




出演

井上みなみ 

緑川史絵 

佐藤 滋

藤谷みき (以上、青年団)

赤刎千久子(ホエイ)  

海老根 理

岡野康弘(Mrs.fictions) 

清水 緑

辻 響平(かわいいコンビニ店員飯田さん)

とみやまあゆみ(演劇ユニット鵺的)

豊田可奈子

藤尾勘太郎 

スタッフ

作・演出:伊藤毅

照明:伊藤泰行

音響:泉田雄太

舞台美術:谷佳那香

小道具・衣装:石原朋香

チラシ装画:赤刎千久子

宣伝美術:フルタヨウスケ

制作:河野遥(ヌトミック)

制作補佐:眞砂麻衣

舞台監督:中西隆雄/鳥巣真理子

舞台写真:石澤知絵子

舞台映像撮影・編集:宮崎陽介



企画制作・主催:青年団リンク やしゃご 
提携:
公益財団法人 東京都歴史文化財団 東京芸術劇場

協力:青年団 ホエイ Mrs.fictions かわいいコンビニ店員飯田さん 演劇ユニット鵺的 ACALINO TOKYO 有限会社レトル イマジネイション 舞台美術研究工房六尺堂 ヌトミック 笠島清剛